加給年金額と振替加算の違い【要件・65歳後の流れを比較】
加給年金額と振替加算の違いを、誰の年金に付くか、20年以上の加入要件、配偶者の65歳、支給停止、生年月日要件で比較。社労士試験の頻出論点を2026年度対応で整理します。
加給年金額と振替加算は誰の年金に付くかが違う
加給年金額と振替加算は、夫婦の年金を扱うため混同しやすい制度です。加給年金額は、一定の老齢厚生年金を受ける人に、生計を維持している65歳未満の配偶者などがいる場合に加算されます。振替加算は、その配偶者が65歳になった後、要件を満たせば配偶者自身の老齢基礎年金に加算されます。
試験では『加給年金がそのまま振替加算へ名前を変える』と考えないことが大切です。加算される年金の受給権者が変わり、振替加算には配偶者自身の生年月日など別の要件があります。
違いを一覧で比較する
- 加給年金額は、原則として厚生年金の被保険者期間が20年以上ある人の老齢厚生年金に加算されます。
- 配偶者に係る加給年金額は、その配偶者が原則65歳未満である間が対象です。
- 振替加算は、要件を満たす配偶者が65歳になった後、その人自身の老齢基礎年金に加算されます。
- 振替加算の対象者は原則として1926年4月2日から1966年4月1日までに生まれた人です。
- 配偶者が一定の老齢厚生年金を受ける権利や障害年金の受給権を持つと、配偶者加給年金額は支給停止されます。
- 加給年金額と振替加算額は、老齢年金の繰下げによる増額の対象ではありません。
加給年金額は20年以上と65歳未満を軸にする
老齢厚生年金の受給権者について、厚生年金保険の被保険者期間が原則20年以上あり、65歳到達時などに生計を維持している65歳未満の配偶者または一定年齢までの子がいると、加給年金額が加算されます。年齢だけでなく、生計維持関係も必要です。
65歳到達後に被保険者期間が20年以上となった場合は、在職定時改定、退職改定、70歳到達時など、年金額が改定される時点の生計維持関係が確認されます。試験では『65歳時点で20年未満なら永久に加算されない』という誤りに注意してください。
配偶者が65歳になると加給年金額は終了する
配偶者に係る加給年金額は、対象となる配偶者が65歳に達すると原則として加算されなくなります。加給年金額は受給権者本人の老齢厚生年金に付いているため、配偶者の年金ではありません。
また、配偶者が被保険者期間20年以上など一定の老齢厚生年金を受ける権利を持つときや、障害年金を受けられる間は、実際に年金を受け取っていない場合でも配偶者加給年金額が支給停止となることがあります。受給権の有無と実際の支給を分けて判断しましょう。
振替加算は配偶者自身の老齢基礎年金に付く
加給年金額の対象だった配偶者が65歳になり、その人が老齢基礎年金を受けるようになったとき、要件を満たせば老齢基礎年金に振替加算が付きます。振替加算は、基礎年金導入前の制度との給付水準の差を補う経過的な加算です。
対象となる配偶者の生年月日は原則として1926年4月2日から1966年4月1日までです。生年月日が遅いほど額は逓減し、1966年4月2日以後生まれの人には振替加算はありません。夫婦の年齢差だけでなく、配偶者自身の生年月日を確認してください。
2026年度の金額は構造を優先して覚える
2026年度の加給年金額は、配偶者と1人目・2人目の子が各年額243,800円、3人目以降の子が各81,300円です。配偶者分には、老齢厚生年金の受給権者の生年月日に応じて年額36,000円から179,900円の特別加算があります。
振替加算額は対象者の生年月日に応じて異なり、毎年度改定されます。金額の丸暗記だけに偏らず、『加給は厚生年金側、振替は配偶者の基礎年金側』『振替加算は生年月日が遅いほど逓減』という構造を先に固めましょう。
試験でよくあるひっかけ
- 加給年金額が対象配偶者本人の老齢基礎年金に加算されるとする選択肢。
- 配偶者が65歳になっても、受給権者本人の配偶者加給年金額が続くとする選択肢。
- 振替加算は1966年4月2日以後生まれの人にも支給されるとする選択肢。
- 配偶者が一定の老齢厚生年金を在職により受け取っていなければ、加給年金額は停止されないとする選択肢。
- 加給年金額や振替加算額も、繰下げ月数に応じて増額されるとする選択肢。
公式情報と無料教材で確認する
現行要件と2026年度額は、日本年金機構の加給年金額と振替加算で確認できます。年金額は毎年度改定されるため、受験年度の公式表を使ってください。
試験対策では厚生年金保険法の無料テキストで老齢厚生年金の要件へ戻り、国民年金法の無料テキストで老齢基礎年金との関係を確認しましょう。数字・期限 用語集と数字ドリルを使うと、20年、65歳、生年月日要件を短時間で反復できます。
まとめ
- 加給年金額は一定の老齢厚生年金の受給権者側に付きます。
- 配偶者が65歳になると、配偶者に係る加給年金額は原則終了します。
- 振替加算は要件を満たす配偶者自身の老齢基礎年金に付きます。
- 振替加算は原則として1926年4月2日から1966年4月1日生まれが対象です。
- 支給停止は実際の受給だけでなく、一定の年金を受ける権利の有無まで確認します。
比較問題を解くときの順番
横断整理の記事は、違いを暗記するためだけでなく、本試験で迷ったときの判断順序を作るために使うと効果が高いです。比較問題を見たら、最初に制度の入口を確認しましょう。誰に適用される制度か、どんな事由が起きたときの制度か、どの役所や保険者が関わるのかを押さえるだけで、かなり選択肢を絞れます。
次に確認したいのが、給付か負担か、資格か手続か、という論点の種類です。例えば同じ数字が出てきても、給付日数なのか届出期限なのかで意味はまったく違います。問題文を読んだ瞬間に数字へ飛びつかず、まず何を問うているのかを言葉で整理すると、ひっかけに強くなります。
よくあるひっかけパターン
社労士試験の比較問題では、名称が似ている制度を入れ替える出題がよくあります。補償給付と一般給付、基礎年金と厚生年金、療養の給付と療養補償給付のように、似た語を逆に置いた選択肢は典型です。本文を読むときも、似た用語は一つずつ対比しながら確認しましょう。
もう一つ多いのが、原則と例外の入替えです。原則の数字を例外に置き換えたり、例外要件を一般ルールのように見せたりする問題は、知識が曖昧なときに引っかかりやすいです。比較記事では、原則の列と例外の列を分けてメモすると復習しやすくなります。
比較表を自分で作ると定着しやすい
横断整理は、読むだけより自分で1枚の表に直す方が強いです。表に入れる項目は、対象者、要件、数字、届出先、時効の5つだけでも十分です。情報を増やしすぎると見返しにくくなるので、最初は間違えたテーマだけを表にするのがおすすめです。
表を作ったら、右端に「よく間違える理由」を1行だけ書いておくと効果的です。たとえば、待期日数が混ざる、保険者を逆に覚える、請求期限と届出期限を取り違える、といった自分の癖を書いておくと、次の模試や本試験で同じ失点を防ぎやすくなります。
直前期の使い方
横断整理は、直前期の総仕上げにも向いています。全科目を細かく読み返す時間がないときでも、比較論点を1枚ずつ回すだけで得点の土台を確認できます。特に選択式は、制度の違いが曖昧だと語句が出てこなくなるため、横断での確認がそのまま得点に直結します。
本文を読み終えたら、見出しだけを見て違いを口頭で説明できるか試してください。説明できない部分は、知識が抜けているか、整理の軸がまだ弱いところです。比較問題は暗記量より整理の順番で差がつくので、直前まで繰り返し使えるメモに育てるのが理想です。
最後に確認したい3つの軸
比較整理で迷ったら、最後は3つの軸に戻ると安定します。1つ目は、誰に適用される制度かです。被保険者本人なのか、家族なのか、事業主なのかで答えはかなり絞れます。2つ目は、何を目的にした制度かです。医療保障、所得保障、手続管理、費用徴収のどれかが見えると、似た制度でも役割の違いが分かります。3つ目は、どのタイミングで問題になるかです。資格取得時なのか、給付請求時なのか、離職時なのかを確認すると、数字や届出先を逆にしにくくなります。
この3つの軸を使って説明できるようになると、表を丸暗記しなくても選択肢を削りやすくなります。横断整理は知識を増やす作業というより、頭の中の並べ方を整える作業です。直前までこの視点で見直しておくと、本試験の比較問題で迷う時間を大きく減らせます。
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よくある質問
Q.加給年金額と振替加算は同じ人の年金に付きますか?
同じとは限りません。配偶者に係る加給年金額は老齢厚生年金の受給権者本人に付き、振替加算は要件を満たす配偶者が65歳になった後、その配偶者自身の老齢基礎年金に付きます。
Q.配偶者が65歳になると加給年金額は必ず振替加算になりますか?
必ずではありません。振替加算には配偶者自身の生年月日や年金加入歴などの要件があります。1966年4月2日以後生まれの人には振替加算はありません。
Q.加給年金額は老齢年金を繰り下げると増額されますか?
増額されません。加給年金額と振替加算額は、繰下げによる増額の対象外です。また、繰下げ待機中は加給年金額を受け取れない点にも注意が必要です。