遺族基礎年金と遺族厚生年金の違い【受給対象・金額を比較】
遺族基礎年金と遺族厚生年金の違いを、受給対象、子の要件、年金額、300月みなし、中高齢寡婦加算で比較。社労士試験の頻出論点をわかりやすく整理します。
遺族基礎年金と遺族厚生年金は対象となる遺族が違う
遺族基礎年金と遺族厚生年金は、どちらも被保険者などが死亡したときに遺族の生活を支える年金です。大きな違いは、遺族基礎年金が子のいる世帯を中心とするのに対し、遺族厚生年金は配偶者、子、父母、孫、祖父母まで一定の順位で対象になり得る点です。
会社員など厚生年金の被保険者が死亡し、要件を満たす子のある配偶者がいる場合は、遺族基礎年金に遺族厚生年金が上乗せされることがあります。国民年金と厚生年金を別々の給付として暗記せず、基礎年金を土台に厚生年金が重なる構造で理解しましょう。
違いを一覧で比較する
- 遺族基礎年金の受給対象は、死亡した人に生計を維持されていた子のある配偶者または子です。
- 遺族厚生年金は、配偶者・子、父母、孫、祖父母の順で、先順位者が受給します。
- 遺族基礎年金は定額を基本に子の加算が付き、遺族厚生年金は死亡した人の報酬比例部分の4分の3が基本です。
- 短期要件による遺族厚生年金は、被保険者期間が300月未満なら300月として計算します。
- 遺族基礎年金では子の年齢、遺族厚生年金では夫・父母・祖父母などの年齢要件が頻出です。
- 一定の妻には遺族厚生年金の中高齢寡婦加算が問題になります。
遺族基礎年金は子の有無が入口になる
遺族基礎年金を受けられるのは、死亡した人に生計を維持されていた子のある配偶者または子です。子のない配偶者、父母、祖父母などは遺族基礎年金の対象ではありません。問題文では、まず要件を満たす子がいるかを確認してください。
ここでいう子は、原則として18歳に達した日以後の最初の3月31日までにある未婚の子です。20歳未満で障害等級1級または2級の障害状態にある未婚の子も含まれます。単に18歳未満と覚えず、18歳到達年度末という表現を正確に押さえましょう。
遺族厚生年金は受給対象が広く順位がある
遺族厚生年金の対象となり得る遺族は、死亡した人に生計を維持されていた配偶者・子、父母、孫、祖父母です。先順位の遺族が受給権を得ると、後順位の遺族には支給されません。家族全員へ同時に支給される制度ではない点が重要です。
夫、父母、祖父母には原則55歳以上という年齢要件があり、支給開始は原則60歳からです。ただし、夫は遺族基礎年金を受給中であれば60歳前でも遺族厚生年金を受けられます。妻についても年齢や子の有無で扱いが分かれるため、続柄だけで結論を出さないようにします。
年金額は定額と報酬比例で見分ける
遺族基礎年金は年度ごとに改定される定額を基本とし、子の人数に応じた加算があります。試験では金額そのものに加え、1人目・2人目と3人目以降で子の加算額が異なる構造が狙われます。年度別の金額は受験年度の資料で確認してください。
遺族厚生年金は、死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3が基本です。厚生年金加入中の死亡などの短期要件では、被保険者期間が300月未満でも300月として計算します。『基礎は定額と子の加算、厚生は報酬比例の4分の3と300月』で対比すると整理しやすくなります。
中高齢寡婦加算と2028年改正を分けて覚える
現行制度では、夫の死亡時に40歳以上65歳未満で一定要件を満たす妻には、中高齢寡婦加算が遺族厚生年金へ加算されます。子がいない場合や、子が年齢要件を外れて遺族基礎年金を受けられなくなった場合の生活保障という役割があります。
2025年成立の年金制度改正法による遺族厚生年金の見直しは、2028年4月の施行予定です。2026年度の現行制度と将来の改正後制度を混ぜないことが大切です。受験年度の法令基準日と公式教材を必ず確認してください。
試験でよくあるひっかけ
- 子のない配偶者にも遺族基礎年金が支給されるとする選択肢。
- 遺族基礎年金の子を単に18歳未満とする選択肢。原則は18歳到達年度末までです。
- 遺族厚生年金を受給できる遺族に順位がなく、全員が同時に受けられるとする選択肢。
- 遺族厚生年金を報酬比例部分の2分の1とする選択肢。基本は4分の3です。
- 短期要件でも被保険者期間を実期間だけで計算するとする選択肢。300月みなしを確認します。
- 2028年施行予定の改正内容を2026年度の現行制度として扱う選択肢。
公式情報と無料教材で確認する
現行要件は、日本年金機構の遺族基礎年金と遺族厚生年金で確認できます。2028年施行予定の見直しは厚生労働省の遺族厚生年金の見直しを参照してください。
試験対策では遺族基礎年金とはと遺族厚生年金とはで定義を確認し、国民年金法の無料テキストと厚生年金保険法の無料テキストで要件へ戻ってください。最後に数字ドリルで18歳到達年度末、4分の3、300月を答えると定着しやすくなります。
まとめ
- 遺族基礎年金は子のある配偶者または子が対象です。
- 遺族厚生年金は対象となる遺族の範囲が広く、先順位者が受給します。
- 遺族基礎年金は定額と子の加算、遺族厚生年金は報酬比例部分の4分の3が軸です。
- 短期要件の遺族厚生年金では300月みなしが問題になります。
- 2028年施行予定の改正と2026年度の現行制度を分けて確認します。
比較問題を解くときの順番
横断整理の記事は、違いを暗記するためだけでなく、本試験で迷ったときの判断順序を作るために使うと効果が高いです。比較問題を見たら、最初に制度の入口を確認しましょう。誰に適用される制度か、どんな事由が起きたときの制度か、どの役所や保険者が関わるのかを押さえるだけで、かなり選択肢を絞れます。
次に確認したいのが、給付か負担か、資格か手続か、という論点の種類です。例えば同じ数字が出てきても、給付日数なのか届出期限なのかで意味はまったく違います。問題文を読んだ瞬間に数字へ飛びつかず、まず何を問うているのかを言葉で整理すると、ひっかけに強くなります。
よくあるひっかけパターン
社労士試験の比較問題では、名称が似ている制度を入れ替える出題がよくあります。補償給付と一般給付、基礎年金と厚生年金、療養の給付と療養補償給付のように、似た語を逆に置いた選択肢は典型です。本文を読むときも、似た用語は一つずつ対比しながら確認しましょう。
もう一つ多いのが、原則と例外の入替えです。原則の数字を例外に置き換えたり、例外要件を一般ルールのように見せたりする問題は、知識が曖昧なときに引っかかりやすいです。比較記事では、原則の列と例外の列を分けてメモすると復習しやすくなります。
比較表を自分で作ると定着しやすい
横断整理は、読むだけより自分で1枚の表に直す方が強いです。表に入れる項目は、対象者、要件、数字、届出先、時効の5つだけでも十分です。情報を増やしすぎると見返しにくくなるので、最初は間違えたテーマだけを表にするのがおすすめです。
表を作ったら、右端に「よく間違える理由」を1行だけ書いておくと効果的です。たとえば、待期日数が混ざる、保険者を逆に覚える、請求期限と届出期限を取り違える、といった自分の癖を書いておくと、次の模試や本試験で同じ失点を防ぎやすくなります。
直前期の使い方
横断整理は、直前期の総仕上げにも向いています。全科目を細かく読み返す時間がないときでも、比較論点を1枚ずつ回すだけで得点の土台を確認できます。特に選択式は、制度の違いが曖昧だと語句が出てこなくなるため、横断での確認がそのまま得点に直結します。
本文を読み終えたら、見出しだけを見て違いを口頭で説明できるか試してください。説明できない部分は、知識が抜けているか、整理の軸がまだ弱いところです。比較問題は暗記量より整理の順番で差がつくので、直前まで繰り返し使えるメモに育てるのが理想です。
最後に確認したい3つの軸
比較整理で迷ったら、最後は3つの軸に戻ると安定します。1つ目は、誰に適用される制度かです。被保険者本人なのか、家族なのか、事業主なのかで答えはかなり絞れます。2つ目は、何を目的にした制度かです。医療保障、所得保障、手続管理、費用徴収のどれかが見えると、似た制度でも役割の違いが分かります。3つ目は、どのタイミングで問題になるかです。資格取得時なのか、給付請求時なのか、離職時なのかを確認すると、数字や届出先を逆にしにくくなります。
この3つの軸を使って説明できるようになると、表を丸暗記しなくても選択肢を削りやすくなります。横断整理は知識を増やす作業というより、頭の中の並べ方を整える作業です。直前までこの視点で見直しておくと、本試験の比較問題で迷う時間を大きく減らせます。
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よくある質問
Q.遺族基礎年金と遺族厚生年金は両方受け取れますか?
厚生年金の被保険者などが死亡し、遺族が両方の要件を満たす場合は受け取れます。代表例は、要件を満たす子のある配偶者に遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給されるケースです。
Q.子がいない配偶者は遺族基礎年金を受け取れますか?
受け取れません。遺族基礎年金の対象は、死亡した人に生計を維持されていた子のある配偶者または子です。子がいない配偶者は遺族厚生年金など別の給付要件を確認します。
Q.遺族厚生年金は老齢厚生年金の全額ですか?
全額ではありません。死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3が基本です。短期要件では被保険者期間が300月未満の場合に300月として計算します。